鬼 鴉【総集編】



「ランスは……?」


鬼人は最優先にした事項を、尋ねる。


目先に決めた優先順位、選んだモノから消す。

それだけが上に立つ人間として、鬼人を支える、貧弱な基礎となっていたからだ。


「……未だ、消息は不明です」


無情とも言える口ぶりでロインは、報告する。


「……」


鬼人は閉口するしか、なかった。


犠牲にしたモノ―


失ったモノ―


棄てたモノ―


どれを差し引いたとしても、鬼鴉にとって有益なモノは無い。


鬼鴉の組織としての名声は、地に堕ちたのであった。