「ランスは……?」 鬼人は最優先にした事項を、尋ねる。 目先に決めた優先順位、選んだモノから消す。 それだけが上に立つ人間として、鬼人を支える、貧弱な基礎となっていたからだ。 「……未だ、消息は不明です」 無情とも言える口ぶりでロインは、報告する。 「……」 鬼人は閉口するしか、なかった。 犠牲にしたモノ― 失ったモノ― 棄てたモノ― どれを差し引いたとしても、鬼鴉にとって有益なモノは無い。 鬼鴉の組織としての名声は、地に堕ちたのであった。