「私らがヤり合っていた最中にも、鬼鴉の連中は裏で動いている……」 ジェノスは腕を組みながら、少し思案を巡らせて呟き続ける。 「トウカも知らないナニかが……、ネェ?」 「……」 ヴォルトは無言のまま、ジェノスから齎されるであろう言葉を待つ。 「鬼鴉に、海上の悪魔。ソレに関わる者、トウカにトウベェ……」 呪文のように渦中に存在している人間を連ねて、ジェノスは微笑む。 「随分と愉快になってきたんじゃ、ないカイ?」 嬉しそうに語るジェノスは、まるで遊具を見つけた子供のようだった。