「ただ……、海上の悪魔を見掛けた。と、報告書に記されてあったワ」 「……ゲッ!!?」 ジェノスから捻り出された言葉にヴォルトは顔色を豹変させ、怯えた声を漏らす。 「……マジですかい?」 神妙に、否、恐怖感を持ってヴォルトは問い掛ける。 海上の悪魔― 荒くれ者で知られる海賊達が、その名を聞くだけで怯え、竦み上がる。 ある種の、絶望にも近いモノがあった。