「……良かったん、ですカイ?」 船内を歩くジェノスに、初老の男、ヴォルトが声を掛ける。 「……」 ジェノスは指先に紙切れを摘み取ると、無言のままヴォルトに視線を送った。 「?」 「……情報収集に出していた斥候から、伝書が届いてネェ?」 小首を傾げるヴォルトに対し、紙切れに書かれた文字を横目で確認しながら、ジェノスは呟く。 「ほぅ?」 ヴォルトは興味深げに頷くと、ジェノスの言葉に耳を傾けた。