「……通りすがりの俺様が、わざわざ立ち寄ってやったのによぉ!あんまり頭にキタから、無礼討ちにした訳よっ!!」


腕を振り回し、刀を振るう真似をしながら浪人はさらに続ける。


「……そしたら、爺ィがすげぇ形相でよぉっ!?ゴチャゴチャ言うから、首を撥ねてやったよ」


浪人はまさに真骨頂という感じで、酒を煽っていた。



「へいへい。……そんでその首で我が鬼鴉の印を描いたんだろう?立派、立派……」


浪人の仲間で、太った侍が幾度も聞いたその内容に締めをつける。


「そうっ!!……緒方のおっさんがくたばった今こそ、鬼鴉は拙者が統べなくてはならないっ!」


「バァ~カっ!!誰も、オメェなんかに、付いてこねぇよっ!?」


立ち上がり熱く語る浪人に対し、もう一人の仲間の痩せた侍が、罵倒の声を上げていた。