~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ- Ⅱ 竜と炎の王

「命拾いしたな」

 御柳は睨むようにこちらを一瞥して、毒づくように言った。

「なんだ? 緊急の収集命令か?」

 麟紅は運が向いてきたとばかりに皮肉って笑う。

「ふん、まあそんなもんさ。でも安心しないほうがいいぜ」

「? またすぐ来るってか?」

「あぁ。助かったのは今だけだ。後でたっぷりし返してやるよ。おい、そこの金髪の兄ちゃん」

「え!? ぼ、僕ですか!?」

 突然呼びかけられ、アズラクは声が上ずった。

「お前以外にどこに金髪がいんだよ。お前、名前は?」

「え、あ、アズラク……アズラク・アル=アイシャ、です……」

「ふ~ん、アラブ人か。どうりでエジプト魔術なんてマイナーなもん使うと思った」

 御柳はくすりと笑い、背中に提げた長い鞘に刀を収めていく。

「じゃ、また会う機会があればな。リンク、それとアズラク」

 御柳は鞘に収めた刀を背中にかけなおすと、そのまま暗い夜の空へ溶け込んでいった。