素直になんかなれない



あたしはずっと
自分で自分を慰めていた。

ずっと、励ましていた。


一人で抱えて
なのに、昴に何も言えなくて。


だけどあたしは“彼女”だから。

あたしが昴の一番だ、って
それを支えにしていた。



でも、今のあたしには
そんな小さな支えすらない。

今のあたしに残ってるモノ。


それは、悲しい程
優しい昴との思い出。



こんなに苦しいのに
こんなに悲しいのに

思いだすのは、何故か楽しかった記憶だった。




初めて二人で過ごすクリスマスに
昴は「緊張して眠れなかった。」、そう言って大遅刻。

「初詣に行こう!」って昴に誘われて行ったけど
あまりの人混みに酔ったあたしに、昴は笑って言ってくれたよね。


「また、来年来ような。」って。


コンビニでポイントを集めてもらえるマグカップが欲しい、って言ったあたしに
必死になって一緒にポイント集めてくれて。


ちょっとでも怪我したりしたら
「絆創膏やる!」って、どこから持って来たかわからないくしゃくしゃのバンドエイドを無理矢理くれた。



そんな昴の全てが、本当に大好きで。


昴が中心で、あたしは作られていたから

好きになりすぎて
ずっと、突っ張ってばっかりだったんだ。