素直になんかなれない



その日、堂々と遅刻して来た昴は
お昼休みに顔を見せた。


その顔は至っていつもと同じで。

どんなに化粧をしたって
泣き腫らした顔を隠せないあたしとは、何だか対照的だった。



そして、昨日の事なんて何でもなかったかのように
男子たちとゲラゲラ笑う昴。

その隣には、もちろん美帆の姿。



「昴ウケるんだけどぉ~っ!」

聞こえるあのアニメ声が、とにかく耳障りで。



再び痛む胸に
あたしは居ても立ってもいられなくて

教室から逃げだした。




何も変わらない、いつもの日常。


変わったのは
あたしと、昴との距離。


それだけ。


……それだけ?本当に?



じゃあ、昴の気持ちは?


もう、変わってしまったの?


あたしの、居場所は?



……あたしの、心は?




「…そんなすぐ、変われないよ…っ、」


変われるはず、ない。

だって、まだこの心は昴を求めてるんだもん。