「ねーね！」

「何よ！」

「何でもなーい！」


嬉しそうにあたしの後を追って来る昴。


この様子だと
昴はおそらく、気付いてるっぽい。



…何か悔しいっ！



「昴なんかもう嫌いっ！」

「え！？嘘！？何でそうなんのーっ！？」

「ふんだ！」


これじゃ、やっぱあたしばっかり好きみたいじゃんか。



「寧々、ごめんね？」

「……やだ。」

「ねーねーっ！」


だけど、しきりに
“ごめんね”って繰り返す昴が、何だか可愛くて。


もっと、いじめたくなってしまう。



「どうしたら許してくれんだよー！！！」


そう言って騒ぎ始める昴に
あたしはクルリと振り返ると、後ろに手を組みながら言ったんだ。




「じゃあ…あたしの事、大好きだーっ！って叫んでみて？」


悔しいから、言ってやんない。


もう一度して、なんて。



だって、昴のせいだよ？
あたしが素直になれないのは。




君が好きだから。


あたしはやっぱり
素直になんかなれないの。






fin,