「……………。」

「……………。」



夕暮れが、二人の言葉を飲み込んでゆく。


長く伸びる、二つの細い影が
どうしようもなく、あたしの胸をドキドキさせた。


でも、それは
とても心地いい感覚。




あたしの心が、どこか浮足立っているのも
きっと、昴が隣に居るから。

それだけなのに
こんなにも心が温かくなるのは、あの告白の後だからだろうか。




しばらく無言のまま歩いていると
昴は突然立ち止まって、おもむろに口を開いた。


「…何か、ごめん……。」

「…え?」


あたしも同じように足を止め
昴へと顔を向ける。



恥ずかしさを隠すように
昴はポケットに入れていた手を、首の後ろに持っていくと

「いや、あの時…俺、何かかなりテンパってて、」

そう言って視線を地面へと下げた。


そんな昴に伝染されて
頬が赤くなるのを感じ、あたしは慌てて首を横に振ってみせる。



「う、ううん!あ、あたしも寝不足で倒れるなんて本当バカだよね!」



その場を繕うように明るく振る舞ってみたけど
昴の表情は固いままだった。



お互いの間に、どことなくきまずい空気が流れてゆく。