素直になんかなれない



次の日。


俺は言葉にならない程の想いを
寧々に伝えるべく、放課後の教室に彼女を呼び出した。





…って、言いたいところなんだけど。


昨日、悠から受けたダメージは
思った以上に俺の体に染み込んでいたらしく

朝の痛みは、前日とは比べモノにならない程だった。



「…ってぇ、」

切れた口の端に、腫れた頬。

擦り傷だらけの拳に
体の至るところに出来た青あざ。

目なんて、ほとんど半分開けられなくて。



…アイツ、マジで手加減ナシかよ!

俺、喧嘩初心者だったっていうのに!!!



こんなんじゃ
とても寧々に話し掛けられなくて

俺は傷口を隠す為、マスクをして登校する事に。



本当は、昨日の夜にでも
寧々に連絡を取って、話をしようと思ったのだが

こんな大事な話を
電話で済ますのは、男として納得いかなくて。



直接話をしたい、と思ったものの

体中は痛いは
顔は酷いはで、とりあえずある程度治るまで

話し合いは見送る事にした。



何つーか…
悠のおかげなんだけど、悠のせいとも言い切れないこの感じ。



俺は早く寧々と話したいのに!