「俺は…」 「やめて!」 千昭の声を無理やり遮ぎった。 そして、何も聞こえないフリをした。 「アタシには…好きな人がいる。大切な人がいるの」 「…コレをくれた人?」 そう言った彼はアタシの指輪をポケットから出す。 「それ…ねぇ、もういいでしょ?返して」 「センセイ、もう忘れなよ。そんな男。浮気されてたんだろ?…」 そんなに悲しそうな顔しないでよ。 あなたには、関係ない。 「…それでも…」 「本当?」 え? 「俺のこと、求めてくれてたじゃん。 さっきのキスも。俺にはそう見えたよ。」