「千昭は早く席つけー。
じゃー、片瀬先生。
自己紹介お願いします」
「あ、片瀬奈津子です。
えっと、桜坂高校出身でした。
国語を担当します。
よろしくお願いします」
「なんか片瀬先生に質問ある人~?」
チクチク、視線が痛い。
廊下側から三番目の一番後ろの席から、
クスっと微笑む彼がなんだか怖い。
千昭…くん、か。
「はいはーい。センセー彼氏いる?」
場を盛り上げるように、質問してきたのは
高木竜だった。
「あ…彼氏は残念ながらいません」
そんな質問に、アタシも平然と笑顔で返す。
落ち着け、奈津子。
今は集中しなきゃ。

