でも、手を出してきたのは、
あのコかもしれない…
だけど覚えていないあたしが一番悪い。
安易に抱かれたあたしが…悪い。
どう考えたってありえないよ…。
生徒に手を出す新任教師なんて。
みんなの目が、アタシと彼に集中する。
「なーんて。まぁ、秘密」
意地悪そうに応える彼は
クラスの中でもなんだか大人に見える。
「えー」
周りから聞こえるざわついた声なんか
今のアタシには聞こえない。
「まぁいいとして!
お前、明日から遅刻したら
体育の成績下げるから」
「まぢでぇ?俺、体育しか
自信ねーのに。
瀬っちゃんの差別やろー」
「あ、今のでもうげんてーん」
そんなやり取りにクスクス笑い出す生徒達。
魔法を持ってるのは、
彼だ。
みんなを笑顔にしてくれるのは、
彼の笑顔だからなんだ。

