とはいえ、彼ら自身が空を飛べたり、海をいけるわけではないところが、この術の味噌です。


 例えば、怪鳥ゴーレムを創り、術者がそれに乗って、空の旅行を楽しんでいるとします。


 しかし、何かしらのアクシデントが起こり、そのゴーレムが壊れてしまったら、その術者は、真っ逆さまに落ちるでしょう。


 土がない、空中や海中でゴーレムを作ることはできないのです。


 (まぁ、海底まで落ちれば、土はありますが、水中で息をする術を持たないドーラの民が、どうやって、海中で呪文を唱えるのか、さっぱり分かりません。)


 ゴーレムの最大の欠点は、術者が無防備というところにあるかもしれません。
それと、必ず材料となる土や岩が必要となるという部分も。


 火、水、風。すべての魔法が、自らを守る術を持っているのに対し、土の魔法は、自らを守る術を持ちません。


 ゆえに、弱点が駄々漏れなのです。



 ただ、このゴーレム、一回、『戦い』というものから離れてみると、これほど便利な魔法もアリマセン。


 怪鳥を作れば飛行機に、魚を作れば舟に、馬を作れば自動車に、巨人を作ればパワーショベルに・・・いかようにも便利な道具に早変わりです。


 ある、高級貴族なんかは、工場の運営に人を雇わず、ゴーレムを20体ほど作り出し彼らに働かせている『ゴーレム工場』があるなんて、噂されています。


 ちなみにゴーレムは基本的には生命体として成り立たない物にはそれなりの力しか出ません。


 例えばペガサスを作ったとしても、馬の身体に、あの程度の羽では空を飛べるはずもなく、ただの羽が生えた普通の馬としてしか活躍はできません。


 大鷲を作り、自分が乗ったところで、鷲のパワーで人間みたいな重いものを運んだら、どれだけ速度が落ちてしまうのか、想像するのは容易ですね。


 つまり、一見すると最強そうですが、規制が多すぎるのが、この魔法です。


 素人にはお勧めしません^^;