「はい。」
「どうもー」
タクシー使って駅から30分。以外と近いものだ。
それにしても、早くついてしまった。二時間ほど時間が余ってしまった。
「ところで、兄ちゃん。アンジェリカ学園になんの用だい?」
運転手のオッサンが不審そうに聞いて来た。
なぜそんな不審そうに聞くのかと疑問に思ったが、
「受験です」
と、とりあえず言っておいた。
「あぁ、そうなの。受験。あぁ、そうか、そういえば今日だったっけかぁ。そりゃさぞかし、緊張するんじゃないの??」
一気に顔が優しく戻って行った。
「いや、あんまり…」
そういえば、あまり緊張がない。
トップ入学しなくてはいけないというのに、なぜだろうか。
「そうかい、アンジェリカ学園にねぇ……かっこいい顔してねぇ、…………へぇ」
なにかオッサンはぼそぼそと言っていたが、良く聞こえはしなかった。
「まぁ、頑張れよ。応援してるぞ」
「はい、ありがとうございました」
右手を軽く降って、オッサンのタクシーは去っていった。


