「ん?」

「ジンって、そんな顔して笑うんだ」

いつもの無表情と違い、すごく、優しそうな笑顔。

「俺だって、いつも感情を殺してる訳じゃない」

あ、何か困ってる? 困ってる?

「リッカっ!!」

ヨシちゃんが遠くから怒鳴る。

「行ってこい」

ジンが優しい笑顔のままでこう言うから、あたしは思わずその笑顔に唇を寄せてしまった。

唇が触れるだけの、我ながらヘタクソなキスだ。