黒いバンの左後方にバイクを付けた頃、遠くからサイレンの音が響いてきた。

「ジン、パトカー来たっ!!」

レンが風切り音にかき消されないよう、怒鳴った。

黒いバンは加速して、赤信号を無視して交差点に進入し、レンの運転するバイクもそれに合わせてつっこむ。

徐々に近付いてくるサイレンの音にスピーカーのこもった声が被った。

「そこのバイク、止まりなさい」

「俺かよ!!」

思わずレンがぼやく。