歩道の方を見ると、黒い人影がこっちに向かって走ってきていた。

ひとりは頭が赤い。

あーあ、確実に怒られるし、あの冷たい眼で見下ろされるのも、やだなぁ。

足取りも重く歩き始めたところで、車のエンジン音がした。

あの黒い車が発進するんだと思って、脇に避けようとして、


いきなり、後ろから腕を掴まれた。