こんな髪なんかいらない!
こんな…こんな汚れた髪なんて!!!
切り刻んだ髪はハラハラと虚しく地面に降り立った。
こんな…こんな苦しい思いをするんだったら…
好きになんかならなきゃよかった…
頬に涙が伝う。
胸が苦しくなって息がしづらい。
呼吸が荒くなる。
―ガシャン
私は持っていたはさみを乱暴に投げ捨てた。
「んで…なんであたしが苦しまなきゃいけないの!!」
目からは大粒の涙が流れる。
先程まで長かった髪は今はボサボサの醜いショートヘアーへと変わっていた。
もう嫌だ…
こんなもやもやした気持ち、髪の毛と一緒に切ってしまえたらいいのに…
そんな思いを抱きながらその日はそのまま疲れて眠りについた。
―pipipi~
部屋に小さな目覚ましのアラーム音が鳴り響く。
私は眠たい目をこじ開けて時計の先端に手を伸ばし、
人差し指でスイッチを押しアラーム音を止めた。
ここは……どこだっけ?
見知らぬ広い部屋。
見知らぬ匂い。
しばらくは頭の中にまるで白い霧がかかったかのようにボーとしていた。
五分程ボーと時間を過ごしてから、私の頭はようやく思考が回り始めた。
あぁ…そうか、昨日からここが私の居場所だったんだ。
ムクッと寝起きの体を起き上がらせる。
コキコキと小さい音がして数箇所の関節がなった。
ふと下を見ると床には昨日切り捨てた髪の毛がまだ散ばっていた。
そして目の前にある大きな鏡に映った自分を見る。
なんて酷い頭だろう。
自分でもそう思った。
左右の髪のバランスも変だし、何より寝癖がすごかった。
「かっこ悪…」
クスッと笑うと私は床に散ばった髪の毛を片付け始めた。
昨日のあの拓也に対するもやもやした気持ちはすっかり軽くなっていた。
髪を切ったせいかな。
よく失恋したら髪を切るっていうしね。
ある程度床を片付けたら今度は髪だ。
せめて寝癖は治しておかないと…
洗面所に行き、ブラシで髪をとかしてみる。
何とか格好だけは付いたものの、やはり左右の髪のバランスがなっていない。
もっとバランスを考えて髪を切るべきだったなとこの時ばかり少し後悔した。
―チリンッ
その時遠くの方で鈴がなった。
李音様が呼んでいる!
揚羽は急いでメイド服に着替えると
そのまま走って李音の部屋に飛び込んだ。
こんな…こんな汚れた髪なんて!!!
切り刻んだ髪はハラハラと虚しく地面に降り立った。
こんな…こんな苦しい思いをするんだったら…
好きになんかならなきゃよかった…
頬に涙が伝う。
胸が苦しくなって息がしづらい。
呼吸が荒くなる。
―ガシャン
私は持っていたはさみを乱暴に投げ捨てた。
「んで…なんであたしが苦しまなきゃいけないの!!」
目からは大粒の涙が流れる。
先程まで長かった髪は今はボサボサの醜いショートヘアーへと変わっていた。
もう嫌だ…
こんなもやもやした気持ち、髪の毛と一緒に切ってしまえたらいいのに…
そんな思いを抱きながらその日はそのまま疲れて眠りについた。
―pipipi~
部屋に小さな目覚ましのアラーム音が鳴り響く。
私は眠たい目をこじ開けて時計の先端に手を伸ばし、
人差し指でスイッチを押しアラーム音を止めた。
ここは……どこだっけ?
見知らぬ広い部屋。
見知らぬ匂い。
しばらくは頭の中にまるで白い霧がかかったかのようにボーとしていた。
五分程ボーと時間を過ごしてから、私の頭はようやく思考が回り始めた。
あぁ…そうか、昨日からここが私の居場所だったんだ。
ムクッと寝起きの体を起き上がらせる。
コキコキと小さい音がして数箇所の関節がなった。
ふと下を見ると床には昨日切り捨てた髪の毛がまだ散ばっていた。
そして目の前にある大きな鏡に映った自分を見る。
なんて酷い頭だろう。
自分でもそう思った。
左右の髪のバランスも変だし、何より寝癖がすごかった。
「かっこ悪…」
クスッと笑うと私は床に散ばった髪の毛を片付け始めた。
昨日のあの拓也に対するもやもやした気持ちはすっかり軽くなっていた。
髪を切ったせいかな。
よく失恋したら髪を切るっていうしね。
ある程度床を片付けたら今度は髪だ。
せめて寝癖は治しておかないと…
洗面所に行き、ブラシで髪をとかしてみる。
何とか格好だけは付いたものの、やはり左右の髪のバランスがなっていない。
もっとバランスを考えて髪を切るべきだったなとこの時ばかり少し後悔した。
―チリンッ
その時遠くの方で鈴がなった。
李音様が呼んでいる!
揚羽は急いでメイド服に着替えると
そのまま走って李音の部屋に飛び込んだ。
