しばらくして、またカグのお母さんがマイのもとにやってきた。
「あなたが、マイさん???」
「はい...?」
「これ。」
カグのお母さんの手には、小さな一枚の写真があった。
それは、前に皆で花火をしたときの写真だった。
ななめに並ぶ、マイとカグだけを無理やりちぎり抜いたもの。
「え???」
マイは、わけが分からなかった。
「聖の財布の中にはいってたんよ。」
マイは、大粒の涙をながした。
「あの子な...前に1回言うたことがあって。
 『今まで家のためだけに働いてきたけど、自分のためにも金貯めたい。』って。
 うちのお姉ちゃんが、『彼女か?』って冷やかしたら『今は無理やけど、いつか絶対つ れて来るから』って言うてこの写真見たとき、この子だったんかなぁと思って」
マイは、信じられなかった。
そして、カグのお母さんは涙を流した。
それを、聞いていた皆も再び涙を流し始めた。
マイも、大粒の涙を流していた。
そして、マイは決心した。
「カグのお母さん。カグは死なない。私が死なせない。」
マイの決心はかたかった。