慣れない初めての仕事

高校時代でさえも
バイトをした事がない

戸惑いながら
仕事をこなし、覚える

客に偽物の笑顔を向ける

緊張の連続だった

俺より年下でも
仕事では先輩の高校生

バカにされないように
頑張っていた

どう思われてるかなんて関係ない

愛想を振りまいていた

バイト仲間にも

友達と呼べるような
仲間も出来ていた

『藤田さんて彼女
いるんですか?』

その質問は曖昧に
答えておいた

千穂を彼女とは
呼べなかった

ただの俺の片想い
かもしれないから

本当は彼女だって
自信を持って
言いたいはずなのに

始まりもないから
終わりもない

終わらない事に
俺は安心していた

たぶんまたいつか
千穂を抱ける

そういう余裕を
持っていたんだ

千穂が俺をどんな風に
思っているかなんて
そんなのわからない

なのに俺を拒まない
千穂に対して、どこか
安心していたんだ