千穂はもう一生
会えないような言い草で俺に微笑みを向けた

そんな事言わないでくれ

俺から離れないでくれ

何度も心の中で叫んだ

これから離れてしまう
その距離と共に
心まで離れてしまう

現実逃避したかった

千穂…愛してる…

声にならない声で
ずっと呟いていた

旅立ちの日

千穂は空港には
現れなかった

もちろん約束を
していたわけじゃない

でも出発を知らせたから少しは期待していた

それでも現れなかった

これで終わり

とでも言っているようだ

そんなに深く考えても
俺の気持ちは絶対
千穂には伝わらない

どんなに愛しても
今の俺たちは
結ばれてはいけないんだ