北川さんは高台にある
綺麗な丘に眠っていた

周りの景色が綺麗に
見渡す事が出来る丘

助手席に座る千穂は
墓地に着くまでずっと
そわそわしていた

北川さんに会える
期待と不安が見えた

俺はどうする事も
出来ないままだった

声をかける事も出来ず
運転に集中していた

誰も居ない高台にある
墓地で、俺達は2人きり

北川さんの元へと
数ヶ月の時間を経て
ようやく会いに来た

北川さんがすぐそこで
見ているような感じと
笑ってくれているような感覚があった

千穂はバッグの中から
タバコを取り出して
火をつけていた

爽やかな風に煙が
乗っかっていく

線香の代わりにタバコを墓前に手向けていた

俺と千穂は2人で
手を合わせていた

千穂…

今千穂は北川さんに
どんな風に話しかけて
いるんだろうか

北川さんはそれに
答えてくれているはず

俺は決めていた

ずっと前から決めていた

北川さんの墓前へ
行く時には、千穂を
幸せにするんだと
ちゃんと宣言する事を

北川さんに向かって
ちゃんと言うんだと
前から決めていた

その時が来たんだ

今がその時なんだ

ずっと心に決めていた
その事を、はっきりと
言えるのは今なんだ

認めてくれるはずだよな

北川さんとの約束を
俺は必ず果たすよ