待ち合わせの10分前に
レストランに着いた
はずだったのに
美晴はもうそこに居た

立ち上がって手を振る
美晴はグレーの
ワンピースにブーツを
合わせたシンプルな
装いだった

『待たせちゃったかな』

『私こそ、早く着き
すぎちゃって…』

そう言って微笑んだ

2人でワインを頼み
乾杯をした

酒も食事もすすんで
楽しい時間だと思えた

仕事の事を話すと美晴は

『お医者様ってもっと
堅い人だと思ってた』

と感想を言った

『じゃあ俺は軽い人間に見えちゃってる?』

『そんな意地悪は
言わないで』

と笑って言った

美晴は今は仕事は
してなかった

花嫁修行とでも
いうところだろうか

そんなお嬢様生活の
美晴を俺は幸せに
してやれるのかと
不安になった

まだそんな事まで
考える必要はない

俺の心の中には
別の人が居るから…

今日は千穂の事は
考えたくなかったのに
結局千穂が恋しくなる