小学校に入学しても
俺は千穂が好きだった

周りのみんなと一緒に
騒いでいる千穂の姿を
見ているだけで良かった

それだけで、元気が出た

俺は一人で読書をしたりしている事が多かった

夢中になって本を
読んでいる時は千穂が
わざわざ迎えにきていた

チャイムの音には全く
気付かないとしても
千穂の気配にだけは
何より先に気付いていた

すぐにわかるんだ

弾むような軽快な足音で近付いてくる千穂の気配

俺にとっての大好きな音




家では笑顔の母さんが
毎日のように俺の事を
抱きしめて、キスを
してくれていた

『ママは大ちゃんが
好きだから、チューを
するのよ。好きな人にはチューをするんだよ』

母さんがそう言っていた

俺はそれで、好きな人にチューをすると
覚えた