俺を見つけた千穂は
満面の笑みを俺に向けて肩より少し伸びた髪を
少し揺らしながら
歩いて俺の前に現れた

ブランド物のバッグを
肩から提げて、高めの
ヒールを履いて
細身のジーンズが
とても脚を長く見せた

相変わらず痩せてるな…

病院着の千穂の姿は
もうなくなっていた

綺麗に化粧もして
俺の中にあった千穂の
イメージそのものに
戻っていた

その笑顔は昔と
ほとんど変わらない

俺達は食事をしながら
他愛もない話に
花を咲かせていた

仕事の話や同級生の話
親の話や見たい映画の話

俺達の距離が近すぎず
離れすぎずの会話だ

もっと聞きたい事や
言いたい事が他にも
あったはずなのに