翌日、彼女が乗ってくる駅が近付くに連れて
俺の心臓は高鳴り出した

いつもより丹念に
髪を整えていた

彼女はいつも同じ扉から乗ってくる

俺はいつも同じ席に
座っている

そして俺の隣の席は
いつも空いている

彼女はきょろきょろして電車に乗ってきた

俺を探しているのかと
少し期待をした

彼女は俺の姿を見付けて何の躊躇いもなく
俺の隣に座った

『おはよう!』

明るく声をかけてくれた

『おはよう』

俺も笑顔を向けた

『昨日は急に声かけて
ごめんね。本を選ぶ
邪魔しちゃったかな?』

彼女が俺の顔を
覗き込んで聞いてきた