俺は麻美の店に
顔を出す事はしない

気持ちの制御が
効かなくなるから

麻美の花屋へは
向かうけど

本当は向かいたくない

誰かが旅立った時にだけ花屋に足を向ける

麻美は何も言わなくてもわかってくれた

俺に花を一輪だけ
売ってくれた

落ち込んでる俺に
花と笑顔をくれた

『ありがとう』

俺からはその言葉しか
出なかったのに

いつでも麻美は
明るく笑顔を俺にくれた

俺の病院での事には
あまり口を出さない麻美

俺も多くは語らない

お互い仕事の事には
深く入り込まない

暗黙のルールだった

それでも俺たちは
うまくやっていた

満足出来ていた

それが俺だけ
だったとしても

それで良かった

麻美を抱くたびに
幸せな気持ちになる

時々麻美は
自分から俺を求める

そんな麻美が
可愛くて仕方なかった

そして俺が求めても
麻美は嫌がらなかった

お互いを求めながら
気持ちをぶつけ合う