【長編】Sweet Dentist

俺を見つめ、ゆっくりと空へと視線を移す千茉莉。

頼りない光を放っていた三日月が、先ほどより優しく見えた気がするのは、傍に愛しい者がいてくれるせいだろうか。

俺達は互いを必要としているのだと、今日改めて強く感じた。

父と母が25年ぶりに瞳を交わしたときの強い絆は、俺達の中にもまた存在するのだと心のどこかで確信していた。

「月がさ…凄く不安そうだったんだ。
さっき一人で見たとき。でも今はずっと優しく見える。
千茉莉が傍にいてくれるからだろうな」

「響さん…」

「千茉莉が傍にいてくれると、それだけで俺は強くなれるよ。
不安だなんて言っていられない。
俺には護りたい女がいるんだ。
もっと強くならなくては、って気持ちになるんだ」

「響さんはいつだって強いよ?
あたしの事いつも支えてくれているもん。
本物の王子様の血筋だって聞いたときには驚いたけれど、そうだと言われて頷けるものがあったよ」