【長編】Sweet Dentist

一旦ホテルに戻り明朝出直そうとした俺達だが、公爵に呼び止められ屋敷の2階の奥の部屋をあてがわれた。

公爵が俺の為に以前から用意していた部屋だと聞かされ驚いたが、一度も会った事のない孫がいつ遊びに来ても良いようにと、色々買い揃えるのが公爵夫人の趣味でもあったらしい。

歴史を感じさせる調度品や、高級感溢れる家具が上品に収められた落ち着いた部屋の大型クローゼットの一つには、夫人が購入したと思われる玩具やスポーツ用品など、30年近くの間に溜め込まれたものが所狭しと詰め込まれていた。

この家に俺の場所があると思うと、他人の家ではないのだとようやく実感が湧いてきて、急に仮住まいのホテルよりずっと快適に思えてくるから不思議だった。