【長編】Sweet Dentist




ほんの一瞬、睫が揺らいだ気がした。




だけど…



それ以上の奇跡が起こることは無かった。



願いが届かなかったことに肩を落とすあたしに、ほんの少しでも反応があっただけでも嬉しいと、お父さんは少し潤んだ瞳で微笑んでくれた。

同じように頷く公爵とアンソニーさんの瞳にも、薄っすらと涙が光っていた。

公爵夫人にいたっては、洪水のような涙の量に、ハンカチが追いつかない様子だった。