【長編】Sweet Dentist

「ああ、お前とアリスは誕生日が同じなんだ。
出産予定日はクリスマスの頃だったんだが、自分の誕生日に産まれたら良いのにって、アリスはずっと言っていたよ。
まさか本当にそうなるとは思ってもみなかったけどな。
アリスの誕生日に陣痛が来た時は、神様が誕生日の贈り物をくれたのだと凄く喜んでいたよ。
だけどお前は夜になってもなかなか生まれようとしなくて、11時を過ぎた時点で医者からは日付の変わる前には産まれないだろうと言われたんだ。
だが彼女は諦めなくて絶対に今日のうちに産んでみせるって言い張ったんだよ。
そしたら急にお産が進んでさ、アリスの頑固さに赤ん坊が負けたって医者も笑っていたよ」

お父さんはその時を思い出すようにクスクスと笑った。

「12月15日午後11時58分。
本当に日付の変わるギリギリにお前は産まれたんだ。
2750グラムの元気な男の子だった。
今でも響はアリスに呼ばれて早く生まれて来たのかもしれないと思うことがあるよ」

お父さんの言葉を聞きながら、あたしは胸を揺さ振られる想いが込み上げてくるのを感じていた。

人は運命によって抗えない力で押し流されるときがある。

それはこの数日間であたし達が強く感じていたことでもあった。

その理由が何なのかこれまで解らなかったけれど…

もしかしたら、あたし達はアリスさんの強い願いに呼び寄せられたのかもしれないと思った。