12月15日、午後7時30分。
あたしは響さんのお父さんと対面していた。
安原優吾さんは、響さんが瞳と髪の色を変え20年分年を取ったような素敵な紳士だった。
響さんは瞳と髪をお母さんから、容姿をお父さんから受け継いだらしい。
パパから聞いていたデコピンおじさんのイメージとはかけ離れたナイスミドルに、あたしはすっかり戸惑ってしまった。
「実は今夜のディナーはちょっと変わった場所を用意しているんだ」
そういってお父さんはあたし達を車で郊外のレストランへ連れ出した。
そこは古い城を改装したホテルの中のレストランだった。
アンティークな調度品と、豪華な佇まいが観る物を圧倒し、その場に漂うクラシカルな雰囲気は、タイムスリップしたような錯覚を起こさせる。
まるで自分がお姫様にでもなったような、優雅な気分になれるのは、この場所が本物の歴史を刻んだ城だからなのだろう。
レストランの雰囲気と、美味しい料理の数々に、あたしはすっかり酔いしれていた。
デザートはもう絶品で、響さんの分まで貰ってその味を舌に記憶したほどだった。



