【長編】Sweet Dentist

運転に支障の無い程度にそっと寄り添い、左腕に腕を絡めると、大丈夫と言うように、その肩に額を寄せた。

「ねぇ、響さん。きっとお母さんはあなたを待っていると思う」

「…え?」

「植物状態って、脳死とは違って意識が残っているケースがあるって聞いた事があるわ。
眠っているようで意識はちゃんとあって、周囲で起こっていることも、皆が話していることもちゃんと解っている場合もあるんですって。
お母さんだってそうかもしれないのよ?
ねぇ…お母さんは助けた子供を響さんに重ねていたんでしょう?
金髪で同じ年頃の子供が皆響さんに見えるほど、きっと凄くあなたに会いたかったのよ。
眠っている間もずっとずっと…あなたを夢に見続けていると思うの」

響さんは車を近くの建物のパーキングへ寄せ、あたしを抱き寄せた。

突然の行動とその力の強さに驚いて息を呑む。

それでも、彼がそれだけ不安定になっていて支えが必要なのだと思ったら狂おしいほどに愛しくて…

気がついたら彼の唇に自分の唇を重ねていた。