【長編】Sweet Dentist

シャルルさんとパパは、その後暫くジャン・セロンさんの話で盛り上がっていた。

シャルルさんにはジャンさんとトニーさんという二人のお兄さんがいて、一番上のジャンさんはパパと同い年で、修行時代に親友だったらしい。

そして二人の弟も、修行時代から知っていたのだそうだ。

シャルルさんは当時まだ15歳くらいで、兄たちと一緒に修行してもなかなか上達せずいつもべそを掻いていたらしい。

パパは嫌がらせを受けたり、辛い思いをしていただけに、そんなシャルルさんが不憫で、よく裏口で泣いてた彼を励ましてあげていたそうだ。

少々恥ずかしいことをバラされたシャルルさんは、仕返しとばかりに、パパが修行に明け暮れて、日本で待っているママに連絡もしなかった事をバラしてしまった。

更にママが、ある日突然フランスまで押しかけて、結婚するか別れるかの二者択一を迫ったと爆弾発言をしたので、パパは更に真っ赤になった。

その上シャルルさんが、煮え切らないパパにプロポーズをさせる為、セロン三兄弟が色々策を講じた事を暴露したものだから、パパはもう憤死寸前。

でもそこはいつも能天気なママのフォローがあって、上手くパパを丸め込んでしまった。

こういう所は流石だと、いつもは振り回される超マイペースなママの性格に、珍しく感謝してしまった。

だけど、これでようやくパパが響さんに待てるのかと、あれほどしつこく訊いた理由が解った気がする。

響さんをチラッと見ると、多分同じ事を考えていたのか、クスッと笑った。