【長編】Sweet Dentist

「…らしいな。ジャンから今朝電話があったよ。
ドラ息子ならぬ、ドラ弟が勝手な行動をして、迷惑を掛けてすまないってさ」

「そりゃ、兄さんに相談なしに予定外の賞を勝手に作って報告しなかったのは悪かったとは思うさ。
でも兄さんだって彼女のお菓子を食べれば僕がどうしてもと願った気持ちは解るはずだ。
充だってフランスで勉強することは絶対に彼女の為になるって解っているだろう?
自分だって経験したことじゃないか。どうしてそんなに反対するんだ?」

「長いんだよ、お前のいう修行期間が。
数ヶ月ならまだしも、数年だろう?
千茉莉は女の子なんだぞ?
おまえんとこの工房にどれだけ女が居るってんだよ。
あそこは元々女人禁制みたいなもんじゃないか!
オオカミの巣に羊を放すようなもんだ。
俺だって東洋人ってだけで、散々苦労したのはお前だって知っているだろう?
東洋人でしかも女。どんな扱いをされるか分かったもんじゃない。
そんなところに大事な娘をやれると思うか?
才能があればそれだけ、嫉妬の風向きも強い。
女だけに嫌がらせのセクハラなんかあったらどうするんだ?
お前が四六時中ボディーガードみたいに護れるっつーのかよ?」

パパの剣幕にシャルルさんはタジタジだった。