【長編】Sweet Dentist


「本当に…信じられないよ。こんな展開になるなんて…」

アンティークな柄のクッションを抱えて呟くと、天井の高い部屋に思った以上に大きく反響する自分の声に驚いた。

このくらいで驚くなんて…と、神経の高ぶっている自分が可笑しくなる。

だけど、それも仕方がないと思う。

あたしの誕生日から、色々な出来事が一度に動き始めていて、その目まぐるしさにあたしはかなりテンパっている。

本当なら響さんのお父さんに会うという、とんでもなく緊張するはずの事も、何故か恐ろしいほどに冷静に受け止めているのは、あまりにも刺激的過ぎるこの5日間のせいで、感覚が麻痺しているのだと思う。

自分では抗えない力に押し流されているのを感じる。

突然の豪雨に足を取られ流されて、気付いたら向こう側の川岸に押し上げられ今に至っているといった心境だ。