【長編】Sweet Dentist

「アリスがどんな姿でも、お前は会いたいと思うか?」

その声はとても静かで哀しげだった。

どんな姿でも…

その言葉に父がこれまで胸の奥深くに留めてきた、苦しみが凝縮されている気がした。

俺に語ることを憚(はばか)られたというほどの母の状態とはどれほどのものなのか、考えるだけで痛ましかった。

「身体が不自由だからって、俺の母親であることには変わりない。
どんな形だって受け入れられるさ」

「アリスにはお前が解らないかもしれないぞ?」

「―っ!…どういう事だ?」

父は瞳を閉じ、込み上げてくるものを堪えるように暫くの間黙り込んだ。

暫くして覚悟を決めたように顔を上げると苦しげに話し始めた。

その声は擦れてとても小さかった。

だが、その内容に受けた衝撃は…

計り知れないほど大きかった。