【長編】Sweet Dentist

「18歳いぃ? まだ高校も卒業していないのか?
…しかも駅前の『SWEET』って…神崎 充(みつる)の娘かぁ?」

神崎 充と言われてピンとは来なかったが、そういえば千茉莉の家の表札にそんな名前があった気がする。

余裕に見えて実は密かに緊張していたらしい自分に、改めて気付いて苦笑した。

「ああ、その神崎さんが俺の為にこれを焼いてくれたんだ。
これ…親父に食べて欲しいんだ」

透明な包みに入ったクッキーを受け取った瞬間、父は明らかに顔色を変えた。

包みを開く指が、震えていたように見えたのは錯覚ではなかったと思う。

もどかしげに一つ取り上げると、その香りに何かを思い出すように瞳を閉じた。


その表情がとても切なげで…


きっと母を思い出しているのだろうと思った。

やがて父は恐る恐るそれを口に運んだ。