【長編】Sweet Dentist

「親父、明日からまた何処かへ出かけるんだろう?
だからどうしてもその前に話しておきたいことがあってさ」

「なんだ? そんなに重要なことなのか?」

いざ父を目の前にすると、なかなか話を切り出せない。

すると、父は落ち着かない俺の様子に何を勘違いしたのか、いきなりとんでもない事を言い出した。

「お前、もしかして結婚することにしたのか?」

「はあっ?」

「だってこの間、本気の彼女がいるから、見合いはもう絶対に持ってくるなって言っただろう?」

父が乗り気だった真由美との婚約を断った理由が、本気で付き合っている相手がいるからだと言ったのだから、そう思うのは自然の流れだろう。

だが、まさか相手が12歳も年下の、しかも高校も卒業していない18歳になったばかりの女の子だとは思わなかっただろう。

恐る恐るそれを話した時の父の顔ときたら…

気分の滅入ったとき思い出すと良いかもしれない。
と、思ったほど何度でも笑えそうな永久保存版の間抜け顔だった。