【長編】Sweet Dentist

もしももっと色んな話をしていたら、父も俺に母親の事を話す機会があったのかもしれない。

父は俺に余り関心がないのだとずっと思っていたけれど…

もしかしたら、俺にどう接していいか分からなかったんじゃないか…
と、千茉莉の父親の話を聞いて思うようになっていた。

「いったいどうしたんだ?こんな時間に、しかも急に話しがあるなんて…。
お前らしくないな」

そう言って居間のヒーターをつける父の背中を見つめ、改めて随分小さくなったのだと思い知った。

俺が30になるのだから、父も年を重ねていて当たり前なのに、何故かとてもショックだった。

だが、俺が成長したように、父もまた、この二十数年で変わっただろう。

今ならば俺から母親の事を切り出しても、きっと答えてくれる。

そんな気がしていた。