【長編】Sweet Dentist

「随分昔の事だから彼だと直ぐには気付けなかったけど。
このクッキーは、昔、俺に洋菓子の味を教えてくれた人から教わったもので、俺がパティシェを目指す切っ掛けとなった最初のお菓子なんだ。
そして、それを教えてくれた女性が…彼のお母さんだったんだよ」


響さんのお母さん?

どうしてパパが響さんのお母さんの事を知っているの?


響さんは呆然として、クッキーを見つめていた。

パパの声が届いているのかどうかも解らない。

いつも余裕で悠然としている響さんが、こんなにも動揺するなんて―…