【長編】Sweet Dentist

「響さん、どうしたの?
苦手なんだから無理しなくてもいいのよ?」

あたしの声にハッとすると、出された紅茶を一口飲んで息を吐いた。

「信じられない…どうして神崎さんが…?」

「気付いてくれたか?
そうだよ、それは彼女の味だ」

パパは何かを懐かしむように遠い目で響さんを見ていたかと思うと、ボソリと呟いた。

「安原…響か。
こんな再会をするとは思わなかったが…いい男に育ったな。
鼻タレガキだったのに」

「え、パパ?」

「『最初から恐れていたら何も学べないし、前へ進むことも出来ない』か。
アリスさんと同じ事を言うんだな。血は争えないって事か。
君が受け継いだのは、その瞳だけじゃない。
強さ、優しさ、そして大きさ…彼女の素晴らしい面を全て受け継いでいる」

「どういう事? 響さんの事、知っていたの?」

「うーん、知っていた…ことになるかな?」