【長編】Sweet Dentist

ブツブツ言いながら席を立つと、少し待っていてくれと言い残し、キッチンへ消えていった。

暫くして戻ったパパの手には、クッキーと紅茶が載せられたトレイがあった。

フワリと紅茶の香りが部屋いっぱいに広がる。

それまで緊張していただけに、部屋の空気が和み、あたしはホウッと息を吐いた。

だけど、響さんは目の前に置かれたクッキーを見て、明らかに顔色を変えた。

「自分で酒を勧めておいてから出すのも変だが、これは今日の午後、君の為に作ったものだ」

「…俺の為に?」

「一つでいいから食べてみてくれないか?
そして何を感じたか教えて欲しいんだ」