結婚式以来、久しぶりに会えると思ったのに、お店に聖良さんはいなかった。
先日もいた店員さんが、聖良さんはつわりが本格的になり体調が良くない為、無理をしないように暫く休むのだと教えてくれた。
師走だけあってお店も忙しいらしいが、聖良さんの性格だと無理をして流産でもしかねないという、超愛妻家の龍也さんの判断らしい。
なるほど、店員の人数が以前来た時よりも多いのは、聖良さんが安心して休めるように、龍也さんが人員を増やしたのだと解った。
相変わらずの溺愛ぶりだと、響さんは笑ったけれど、そんな風に大切にされる聖良さんはとても幸せだと思った。
「千茉莉、これをやるよ」
さっきまで店員さんと話していた響さんが、いつの間にかあたしの目の前に現れ、突然手のひらに何かをのせた。
驚いたあたしは、慌てて落とさないように手に力を込め、それを受け止めた。
ヒンヤリと冷たい感触が指に伝わる。
「これ…ガラス?」
それは羽のデザインのキーホルダーだった。



