【長編】Sweet Dentist

響さんの頬をムニッと摘まみながらそういうと
『いひゃい(痛い)』
とすかさず文句が飛んでくる。

「こんなこと、響さんにしかできないもの。
だから響さんが“あの”ビケトリと言われても、どうも素直に事実を受け入れられないのよ。解る?」

「……わかんねぇ」

あたしの答えに不満そうに頬を撫でながら、唇を尖らせる響さん。

「ほらその表情、子供みたいよ? クスクス…だれがビケトリって言われて頷けると思う?」

「こんな表情(かお)見せるのはお前の前だけだってぇの。わからねぇかなぁ?」

まだ何か言いたそうだったけれど、聖良さんのお店が見えてきたので、響さんは大げさに溜息をついて話を打ち切った。