【長編】Sweet Dentist

「本当?嬉しい」

「くっそー、千茉莉にバレて嫌われたら俺、立ち直れねぇぞ?
一生怨むからな」

ガシガシと半ばやけくそで髪を掻き回す響さんは、決して全身で彼女を拒絶していなかった。

もう何を信じて良いか解らなくて、頭が真っ白になる。

手にしたバックが滑り落ちて、鈍い音を立てた事にも気付かなかった。

響さんが驚いた顔で振り返りこちらを見つめる。

あたしは呆然と彼を見つめたままその場に立ち尽くしていた。

明らかに不味いものを見られたと思ったらしい、ギョッとした顔。

怒りなのか悲しみなのか解らない感情が突き上げてきて、訳が解らなくなった。