【長編】Sweet Dentist

「千茉莉、本当に凄かったな。会場全体があんな風に千茉莉の味方になるなんて…すげぇ感動したよ」

ちょうど宙の事を考えていただけに、もしかして狭いだの、運転が荒いのと、文句の一つも言われるのかと思ったが、宙の口から出てきたのは、大会の余韻覚めやらぬ呟きだった。

「…あぁ…。凄かった。本当に…言葉も出なかったよ」

言葉も出なかった。

千茉莉が会場にいた多く人の心を動かした事もそうだが、ゲスト審査員の思いがけない特別賞には本当に度肝を抜かれた。

そう…本当に…

あの含みのある笑みはこういう事だったのだと、何とも言えない気持ちになったのは、大会終了後。

千茉莉と帰ろうとしたところを、青い目のパティシェに引き止められた時だった。