【長編】Sweet Dentist


助手席で眠りにつく千茉莉に視線を落とし、再び進行方向へと戻す。

時刻は既に深夜に近い時間。

すれ違う車のヘッドライトが、長時間運転してきた目には眩しく、思わず目を細めた。

「宙、少し遠回りになるが空を先に送るぞ。女の子だからな。お前は最後だ、いいな?」

「ああ、いいよ。悪りぃな、俺たちまで送ってもらって」

「…自分から無理やり乗り込んできたくせに良く言うぜ。まぁ…その狭い後部座席で良いって言うんだから俺は別に構わねぇよ」

大会終了後、千茉莉と帰ろうとしたところへ半ば無理やり乗り込んできた空宙コンビ。

大体スポーツカーなんて二人乗りみたいなもので、後部座席は飾りだ。

それなのに大人が4人、しかも宙みたいなヒョロリとでかいヤツが乗っているのだから、今や車内は前代未聞の人口密度。

後部座席は振り返るだけで呼吸困難に見舞われるほど超過密状態だ。